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Battulga, B.; 安藤 麻里子; 松枝 誠; 小嵐 淳
Environmental Science and Pollution Research, 30(31), p.77226 - 77237, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Environmental Sciences)過去十年間において、水圏環境のマイクロプラスチックの地球規模の調査は、科学的に幅広く関心が持たれている。本研究は、同位体分析及び示唆熱天秤-質量分析法を含む多次元分析を行い、環境中のマイクロプラスチックの挙動及び特性を明らかにしたものである。マイクロプラスチックサンプルは、日本の対照的な二つの沿岸域で採取した。採取したポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレンから成るマイクロプラスチックのC値は、-25.6‰-31.4‰、-23.4‰-30.9‰、-27.3‰-28.6‰であった。また、ポリエチレンとポリスチレンから成るマイクロプラスチックの熱分析において単段階吸熱反応が確認された。本研究により、マイクロプラスチックの劣化が水圏環境における挙動及び特性に重要な役割を担っていることが示唆された。
Battulga, B.; 安藤 麻里子; 中西 貴宏; 小嵐 淳
Science of the Total Environment, 849, p.157758_1 - 157758_11, 2022/11
被引用回数:3 パーセンタイル:40.21(Environmental Sciences)本研究では、マイクロプラスチックの表面に形成されるバイオフィルム(有機付着物)の特性を明らかにするための第一ステップとして、バイオフィルムを分離回収する手法を開発した。茨城県内の河川において、大きさ,色,組成の異なる様々なマイクロプラスチック試料を採取した。それらの試料に超音波処理を行った後、シリンジを用いた方法により有機付着物を溶液として分離回収した。バイオフィルム由来の有機物から放射性セシウムが検出され、マイクロプラスチックが河川生態系における放射性核種の輸送媒体としての役割を果たすことが示唆された。また、有機物の安定炭素・窒素同位体の分析にも成功した。本手法は、マイクロプラスチックの状態や環境中における物質循環への寄与を解明するために有効である。
中村 詔司; 木村 敦; Hales, B. P.; 岩本 修; 芝原 雄司*; 上原 章寛*; 藤井 俊行*
JAEA-Conf 2018-001, p.199 - 203, 2018/12
ImPACTプロジェクトにおいて、長寿命核分裂生成物の中のCsについて、その中性子捕獲断面積測定をJ-PARCのMLF施設内に設置されているANNRI装置を用いて進めている。将来の測定のためにSeサンプルの整備可能性の検討と並行して、安定Se同位体核種について、それらの中性子捕獲断面積測定も進めている。本発表では、放射性Cs試料の整備とそれを用いた照射試験、安定Se同位体の断面積測定などについて報告する。
中塩 信行; 磯部 元康; 涌井 拓治*; 岩田 圭司*; 木林 辰行*; 金沢 勝雄; 福井 寿樹; 大竹 敦志*; 中島 幹雄; 平林 孝圀*
JAERI-Research 2001-001, 19 Pages, 2001/02
模擬雑固体廃棄物を、高周波誘導加熱とプラズマ加熱を併用するハイブリッド加熱方式及び導電性るつぼを用いる高周波誘導加熱方式の2つの溶融方式によって溶融し、雑固体廃棄物の溶融挙動を調べるとともに、溶融固化体の特性を評価した。製作した溶融固化体には強度を損なうような有害な空隙もなく、溶け残りなども見られず、ハイブリッド加熱方式で製作した溶融固化体の一部で見られたボイドの残存も、脱酸素剤を添加することにより低減できた。また、溶融固化体のスラグ層、金属層の化学成分分析、圧縮強度試験、比重測定の結果、溶融処理によって雑固体廃棄物を十分に均質化、安定化できるが溶融炉耐火材・るつぼ材の溶湯への溶け込み及び脱酸素剤が固化体中化学成分に影響を与える場合があることがわかった。一方、安定同位体トレーサーを用いて核種移行挙動を調べた結果、Coは金属層へ、Csはスラグ層に分布し、Csの残存率は加熱方式に影響を受けることがわかった。
大坪 隆*; 大矢 進*; 後藤 淳*; 出淵 善智*; 武藤 豪*; 長 明彦; 小泉 光生; 関根 俊明
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.206 - 207, 1999/10
偏極した不安定核はそれ自身の電磁気モーメントの決定のみならず、物質中の不純物効果の研究等に有用である。本研究では、微小角度で入射した不安定核のイオンが表面との相互作用により偏極させ、核磁気共鳴法により偏極度を求める方法を試みている。TIARAオンライン同位体分離器でAr+Mo反応で生成するCs(半減期31秒)の偏極をこれまで行ってきたが、より大きな偏極度を得るべく今回はC+C反応で生成するNa(22秒)について試みた。得られた偏極度は(0.320.23)%に止まり、Csの偏極度(0.230.13)%より大きな値は得られなかった。原因は検討中である。
大坪 隆*; 大矢 進*; 堀 一隆*; 木村 浩之*; 谷内田 聡*; 後藤 淳*; 出淵 崇志*; 武藤 豪*; 長 明彦; 小泉 光生; et al.
Hyperfine Interactions, 120-121(1-4), p.695 - 699, 1999/00
偏極した不安定核ビームは電磁気モーメントの観測による原子核構造研究のみならず、物質中の稀薄な不純物の効果などの研究に有用である。この目的の不安定核ビームの生成法として微小角度入射したイオンビームの表面相互作用法を研究した。TIARAのオンライン同位体分離器を用いてArビームとMoターゲットとの反応で生成したCs(半減期:31秒)の一価イオンを60keVに加速し、Si結晶表面と相互作用させてから、KBr結晶に注入した。線を検出する核磁気共鳴法により、0.220.13%という偏極度を得た。安定な軽い核で得られている偏極度に比べて小さい原因として、イオンの速度が影響していると考えられる。
関根 俊明; 市川 進一; 長 明彦; 小泉 光生; 飯村 秀紀; 塚田 和明; 西中 一朗; 初川 雄一; 永目 諭一郎; 浅井 雅人*; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 239(1), p.127 - 131, 1999/00
被引用回数:2 パーセンタイル:21.16(Chemistry, Analytical)東海研タンデム加速器と高崎研TIARAに設置した2つのオンライン同位体分離器(ISOL)を用いて1992年以後に行われた不安定核の研究を紹介する。東海研ISOLでは、ターゲットチェンバーとイオン源とヘリウムジェットで結合する新しいシステムを開発して、アクチナイドターゲットの照射を可能にした。その結果、Uの陽子照射により新核種Tb,Gd,Smを見出し、UのLi照射で同じく新核種Uを見出した。高崎研ISOLでは、ArとMoターゲットの反応で中性子欠損核種を生成させ、新核種Prを見出した。また、高効率の線角度相関装置を製作して、BaやCeの低励起・低スピン状態を確立した。
小泉 光生; 長 明彦; 関根 俊明; 久保田 正志*
「不安定核の理工学及び核計測法 (II)」に関する専門研究会報告書, 0, p.54 - 57, 1997/00
レーザーイオン源は、元素選択性を持つため、同位体分離器と組合わせることで、特定のアイソトープを選択的に引出すことができる。原研高崎では、陽子ドリップライン近傍の崩壊核分光をS/N比良く行うため、レーザーイオン源を製作した。本イオン源の特徴は、凸レンズを用いレーザーをフォーカスして入射し、イオン源内部でレーザーを拡げ照射体積を大きくしたことである。これによりイオン化効率の増加が期待できる。オフライン実験では、安定元素Ba,La原子を共鳴イオン化し、ISOLにより質量分離した。オンライン実験では、Ar加速ビームをMoターゲットに照射し、生成したBa不安定核原子がレーザーにより共鳴イオン化されたことを確認した。
浅井 雅人*; 小島 康明*; 長 明彦; 小泉 光生; 関根 俊明; 柴田 理尋*; 山本 洋*; 河出 清*
「不安定核の理工学及び核計測法 (II)」に関する専門研究会報告書, 0, p.97 - 100, 1997/00
基底状態の偶々核のスピン・パリティはOであることは良く知られているが、励起状態のO準位については情報が十分でない。本研究では、中性子欠損Ba核のO準位を見出すため親核であるLa核を生成させ、その崩壊に続く線放出過程を調べた。この実験では、高崎研TIARAのサイクロトロン接続したオンライン同位体分離器を用いて、Ar+Mo反応で生成した目的核種を質量分離し、準位スピン決定のために-角度相関測定を行った。5台のGe検出器を用いた効率の高い測定により、Baについて9つのO準位を同定した。
関根 俊明; 小泉 光生; 長 明彦
KURRI-KR-3, 0, p.13 - 17, 1996/00
平成4年に高崎研TIARAにISOL(オンライン同位体分離器)を設置した。これまでに短寿命アイソトープの核分光学的研究では、新核種Pr、Prを同定するとともに、高効率-角度相関測定装置を利用して新しいエネルギー準位を見出して来た。RIのイオン注入による核物性的研究では、Xeを種々の金属試料に注入してCsメスバウア遷移における核有効半径を決定する研究が進展している。また、ISOLにおいて重要なイオン源に関しては、共鳴イオン化を利用するレーザーイオン源の開発を進めている。
浅井 雅人*; 小島 康明*; 長 明彦; 小泉 光生; 関根 俊明; 柴田 理尋*; 山本 洋*; 河出 清*
KURRI-KR-3, 0, p.36 - 40, 1996/00
高崎研TIARAのISOL(オンライン同位体分離器)を用いて重イオン核融合・粒子蒸発反応で生成する短寿命アイソトープの崩壊及び核構造を研究している。この研究では崩壊の後の励起状態から連続的に放射される2本の線の角度相関がエネルギー準位のスピン、遷移の多重極度などの重要な情報を与えるが、有意の結果を得るには多数の事象を蓄積しなければならない。この測定を限られたマシンタイムの中で行うために5台のGe検出器を用いて、90°から170°の間で9個の角度について同時にデータが収集できるシステムを設置した。これがMo(Ar,3Pn)La()Baの反応の研究において有効に働くことを実証した。
西村 昭彦; 柴田 猛順
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(9), p.905 - 911, 1995/09
被引用回数:2 パーセンタイル:28.04(Nuclear Science & Technology)原子法レーザー同位体分離(AVLIS)では、原子蒸気発生のために電子ビーム蒸発が使用されている。このプロセスの数値計算のために、直接シミュレーションモンテカルロ(DSMC)法を改良した。DSMC法に単純統計モデルを組込むことで、蒸発原子の並進運動と準安定準位間のエネルギー移動を表現した。Gdの5つの準安定準位を計算対象にした。計算結果とレーザー吸収分光法により求めた実験結果との比較により、準安定準位と並進運動間のエネルギー移動が生じるのは衝突ペアの全エネルギーがあるしきい値を超えた場合であることが判明した。本計算コードを改良発展させることで、原子法レーザー同位体分離の蒸発プロセス全体を把握できることが期待できる。
関根 俊明; 初川 雄一; 市川 進一
KURRI-TR-348, p.42 - 44, 1991/04
高崎研究所における放射線高度利用計画で建設されつつあるAVFサイクロトロン施設には、オンライン同位体分離器(ISOL)の設置が進められている。サイクロトロンによる高エネルギー軽・重イオンビームとISOLとの組合わせによって広範囲のラジオアイソトープについて研究が可能となり、1)高純度ラジオアイソトープの製造研究、2)不安定核の研究、3)RIインプランテーションによる固体の研究、が計画されている。これらと施設計画について紹介する。
山林 尚道; 出雲 三四六; 本木 良蔵; 山本 武夫; 仁志田 博司*; 進 純郎*; 佐藤 喜一*; 鈴木 康之*
Radioisotopes, 34(3), p.144 - 150, 1985/00
生体に全く放射線被曝の問題のない安定濃縮同位体Crを使用して新生児循環血流量を測定する方法を開発した。出生時臍帯より採決した血液中の赤血球をCrで標識し新生児に静注する注入後一定時間をおき0.5mlを静脈採血し凍結乾燥した。日本原子力研究所のJRR-2,3,4原子炉のいずれかで20分間照射し、約2週間放置後CrおよびFeの線をGe(Li)検出器で測定した。赤血球への標識化率,洗浄効果,Cr濃度又はCr/Fe比率による希釈率などを検討後、新生児の全血液量を同位体希釈法により求めた。新生児血行動態は出生後の時間経過と共に活発に変化することが示唆され、分娩形態により有意の差が認められた。
進 純郎*; 鈴木 康之; 中村 恒穂*; 仁志田 博司*; 山林 尚道; 出雲 三四六; 本木 良蔵
医学のあゆみ, 130(6-7), p.437 - 439, 1984/00
循環血液量の測定には色素法や放射性物質が用いられていたが、色素法では色素が組織にとり込まれるため正確性に欠け、放射性物質は生体に放射線被曝の問題があった。我々は生体への問題のない安定同位元素Crを使用して新生児循環血液量の測定方法を検討した。乾燥した赤血球を原研の原子炉で照射し、放射化分析後同位体希釈放により赤血球量を求めた。基礎的検討により血液1ml当り10gのCr量でほぼ赤血球に90%標識され、かつ赤血球洗浄が不必要であることが判った。保原中央病院および北里大学病院において出生した正常新生児4名と重症RDS児1名について循環血液量および赤血球量測定を行った。正常成熟新生児では比較的安定した値を示したが、病児の場合には大きく変動することが示唆された。
土谷 邦彦
no journal, ,
放射性同位元素は、われわれの命を守り、生活の質を向上させるため、医療, 産業など幅広い分野で使用されている。また、研究分野においても、大学, 研究機関等の基礎研究のための重要な試薬・線源として利用されている。本発表では、放射性同位元素を安定供給するための体制やそれらの供給量に関する日本の現状について報告する。また、放射性同位元素であるモリブデン-99(Mo)の娘核種であるテクネチウム-99(Tc)は、診断用医薬品の80%以上を占める重要な核種であり、Moの安定供給に向けた取組みについて、Mo国産化のための技術開発の現状についても報告する。
Battulga, B.; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
本研究では、マイクロプラスチックの表面に形成されるバイオフィルム(有機付着物)の特性を明らかにするための第一ステップとして、バイオフィルムを分離回収する手法を開発した。茨城県内の河川において、大きさ、色、組成の異なる様々なマイクロプラスチック試料を採取した。それらの試料に超音波処理を行った後、シリンジを用いた方法により有機付着物を溶液として分離回収した。バイオフィルム由来の有機物から放射性セシウムが検出され、マイクロプラスチックが河川生態系における放射性核種の輸送媒体としての役割を果たすことが示唆された。また、有機物の安定炭素・窒素同位体の分析にも成功した。本手法は、マイクロプラスチックの状態や環境中における物質循環への寄与を解明するために有効である。
Battulga, B.; 中山 理智; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
水環境中のプラスチックは長期間生態系への影響が懸念されることから関心が高まっている。本研究では、バイオフィルムが水環境中の有機物循環に与える影響を明らかにするため、日本の沿岸河川におけるマイクロプラスチックに含まれる微生物群の構成とバイオフィルムの特徴に着目した。本研究の目的は、マイクロプラスチックの微生物バイオフィルムを抽出して、マイクロプラスチック・表層水・土壌に含まれる微生物群の構成等を明らかにすることである。試料は2021年から2022年の異なる季節において2つの沿岸河川で採取した。マクロプラスチックからバイオフィルムを抽出するため、超音波シリンジ処理を用いた分析法を新たに開発した。分析の結果、マイクロプラスチックの形態や微生物の分類とともに、それらの季節変動が明らかになった。
Battulga, B.; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
水環境におけるプラスチックは科学的に大きく注目されているが、プラスチックに含まれる放射性物質やプラスチック上の有機付着物の動態はほとんど知られていない。本研究では、日本の対照的な2つの沿岸域で採取したプラスチック上の有機付着物と堆積物に対して、その特性や環境中の放射性物質、特に放射性セシウム(Cs)との相互作用を明らかにすることを目的としている。また、有機付着物と堆積物試料の安定同位体(CとN)の季節変動を解析した。研究の結果、放射能濃度が29219.4 Bq kg有機付着物(dw)の微量のCsが有機付着物内で検出され、これは1.150.08 Bq kgプラスチック(dw)に相当する。